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葛城事件

評価
4.0
感想一言
観おわった後のもやもや感があるけど、全くの他人事とも思えない不思議な感じ

作品情報

制作
2016年/日本
配給
ファントム・フィルム
上映時間
120分
映倫区分
PG12
監督
赤堀雅秋
脚本
赤堀雅秋
音楽
窪田ミナ
キャスト (出演)
三浦友和: 葛城清 / 南果歩: 葛城伸子 / 新井浩文: 葛城保 / 若葉竜也: 葛城稔 / 田中麗奈: 星野順子
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あらすじ

どこにでもありそうな郊外の住宅地。ボソボソと「バラが咲いた」を歌いながら、葛城清(三浦友和)は、古びた自宅の外壁に大量に落書きされた「人殺し」「死刑」などの誹謗中傷をペンキで消している。やがて庭へと移動し庭木にホースで水を撒きながら、ふと、この家を建てた時に植えた、みかんの木に生(な)る青い実に手を延ばす―――。

親が始めた金物屋を引き継いだ清は、美しい妻・伸子(南果歩)との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。 長男・保(新井浩文)は、子供のころから従順でよくできた子供だったが、対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔(若葉竜也)は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻の伸子は、ある日、清への不満が爆発してしまい、稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場…。葛城家は一気に崩壊へと向かっていく。

感想

ふとしたきっかけで、”葛城事件” を観てきました。
きっかけというのは、三浦友和さんが出演された A-Studio (TBS テレビ) をたまたま観ていて “葛城事件” に興味が湧きました。 たぶん、映画館の予告を観ただけではその気にならなかったと思います。

ある事件をモチーフに無差別殺人を犯す次男を産みだしてしまった家族の、その父親を中心としたお話しです。
三浦友和さん扮する葛城家の父親・葛城清のいやな親父っぷりが、自然というのも変ですがとてもあっていて、「いるなぁ~」と思わせるシーンがいくつもありました。 何でも分かっているていで世の中を批判するところや、中華料理屋さんでの店員さんへのクレームのシーンでは、思わず苦笑いしてしまいました。この中華料理屋さんのシーンでは、似た話をしそうな父親をお持ちの方や接客業の仕事でクレーム対応したことがある方であれば、「ある、あるっ!?」と思ったのではないかと思います。

日に日に心が止んでいく南果歩さん扮する母親・葛城伸子。 コンビニのお弁当食べてるだけなのに、病んでる感がとても出ていたのが印象的でした。 家の中では父親の期待に応えなければとがんばりつつも、プレッシャーと戦い抱え込みすぎてしまう新井浩文さん扮する長男・葛城保。 若葉竜也さん扮する、無差別殺人を犯してしまう次男・葛城稔。 父親のことをひどく嫌い避けているように見えたんですが、でも変に理屈っぽい上から目線的な話し方は本人も気付かずに父親に似てしまったんだなと思いました。 そして、田中麗奈さん扮する、獄中の葛城稔と結婚をしたという星野順子。 まっとうそうに見えて、死刑囚と結婚するというかなり変わった女性。
どれも個性的な人たちで絡み合うとなかなかに濃いのですが、そんな彼らのふとした行動や発言は、自分に置き換えてみると、時には自分が少し感じたことのあるような事であったり、家族や知人に少し似たところあるのでは? と感じるような所が散見されるのが不思議でした。
そう思うと、初めは小さなちょっとしたずれから、修復不能な大きなずれへとなっていったのかなと思いました。

内容的に、映画は観て明るくの楽しくとお考えの方にはお薦めはできないです。
ヒューマン系で、考えさせられるようなものは嫌いじゃない、という方は観ても楽しめるのではないかと思います。

鑑賞記録

新宿バルト9 / — / —